教育
2021年00月00日
私立大学へ4年間進学した場合、学費はどれくらいになるのでしょうか。一般的に国公立大学より学費がかかるイメージですが、入学前に費用を知っておくと安心です。そこで本記事では、私立大学の学費総額を解説します。教育資金の用意方法もまとめていますので、参考にして学費について考えてみましょう。
私立大学の学費には、以下のような費用が含まれます。大学に通う際にかかる費用は、入学時に支払うものや在学期間中に定期的に支払うものなどさまざまです。
私立大学・学費に含まれる費用
大学の入学金には、教科書を購入するための教材費などは含まれていません。そのため、初年度に納付する入学金に加えて教材費などが必要となります。
教材費は学部によって異なるため、詳しく知りたい場合は大学のホームページ等を確認しましょう。一般的には大学へ入学が決まった後に配布される資料等に、必要な費用と購入スケジュールが提示されています。
また、大学で必要な教材には専門性の高い書籍が多く含まれています。そのため、通常の書店では入手しにくく、1冊あたりの金額も高額な場合が多いため注意が必要です。
入学金や教材費以外にも、在学中に発生する費用は多くあります。例えば、親元を離れて通学する場合に必要な生活費や住居費、日々の食費や交通費などです。さらに、学部によっては学費以外にも実習費や留学費用がかかることがあります。
また、最近はオンライン授業の機会も増えているため、インターネット環境の整備にかかる費用も想定しておきましょう。対応している機器の導入や、パソコンを新たに購入することも考えて費用を用意しておくと安心です。
学費のみを考慮した教育資金対策ではなく、メインとなる学費を中心に生活で関連する費用も想定しながら教育資金の対策をしましょう。
ここからは、私立大学の初年度学生納付金(入学費用)の平均について、学部ごとにまとて解説します。以下でまとめる数値は、文部科学省「令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」を基にしています。[注1]
学部 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
文科系学部 | 815,069円 | 225,651円 | 148,272円 | 1,188,991円 |
理科系学部 | 1,136,074円 | 251,029円 | 179,159円 | 1,566,262円 |
医歯系学部 | 2,882,894円 | 1,076,278円 | 931,367円 | 4,890,539円 |
その他学部 | 969,074円 | 254,836円 | 235,702円 | 1,459,612円 |
学部 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
文科系学部 | 815,069円 | 225,651円 | 148,272円 | 1,188,991円 |
理科系学部 | 1,136,074円 | 251,029円 | 179,159円 | 1,566,262円 |
医歯系学部 | 2,882,894円 | 1,076,278円 | 931,367円 | 4,890,539円 |
その他学部 | 969,074円 | 254,836円 | 235,702円 | 1,459,612円 |
医歯系学部は卒業までに6年間の在籍が必要で、他の学部は通常4年間で卒業します。在学中の費用総額を比較した場合、どうしても在籍期間の長さから医歯系学部が高額になります。もちろん授業料や施設設備費など内訳の差もありますが、在学期間を加味せず、純粋に学費として比較するなら初年度学生納入金で比較するのがおすすめです。
初年度学生納入金で比較した場合、もっとも高いのは医歯系学部で約490万円です。この後、理科系学部で約157万円、その他学部で150万円、文科系学部で119万円と続きます。初年度学生納入金で比較しても、やはり医歯学系学部の費用は高額であることがわかります。
毎年発生する授業料と施設設備費の金額は、学部ごとに異なります。そこでここからは、在学期間中に発生する費用について学部ごとに紹介していきますので参考として考えてみましょう。
こちらの金額は、文部科学省「令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」を参考にしたものです。[注1]
授業料 | 施設設備費 | |
---|---|---|
文科系学部 | 815,069円×4年=3,260,276円 | 148,272円×4年=593,088円 |
理科系学部 | 1,136,074円×4年=4,544,296円 | 179,159円×4年=716,636円 |
医歯系学部 | 2,882,894円×6年=17,297,364円 | 931,367円×6年=5,588,202円 |
その他学部 | 969,074円×4年=3,876,296円 | 235,702円×4年=942,808円 |
授業料 | 施設設備費 | |
---|---|---|
文科系学部 | 815,069円×4年=3,260,276円 | 148,272円×4年=593,088円 |
理科系学部 | 1,136,074円×4年=4,544,296円 | 179,159円×4年=716,636円 |
医歯系学部 | 2,882,894円×6年=17,297,364円 | 931,367円×6年=5,588,202円 |
その他学部 | 969,074円×4年=3,876,296円 | 235,702円×4年=942,808円 |
医学部や歯学部の学費が、他の学部と比べて高額であるのは在籍する年数の違いも一つの要因です。一般的な大学は4年で卒業ですが、医学部と歯学部は卒業までに6年間必要です。学ぶ内容の特性から実習の機会も多く、実習費がかさむことも在学費用が高額になる要因です。あわせて私立大学の場合は、大学ごとに学費の設定をしてよいことになっています。そのため同じ学部でも、選ぶ大学によって費用の差は大きいです。
なお国立大学では、医歯系学部も含めてすべての学部の費用の標準額が定められています。そのため、万が一金銭的な理由から私立大学の医歯系学部への進学が不安な場合は、国立大学への進学も選択肢に加えると良いでしょう。
ここからは、私立大学へ入学してから卒業するまでに必要な学費の総額を、学部ごとに紹介していきます。[注1]
文科系学部の学費総額は、約401万円です。
文系・学費総額
理科系学部の学費総額は、約551万円です。
理系・学費総額
医学部・歯学部は6年通学になるため、学費は6年分としてまとめます。6年間の総額は、約2,396万円です。
医歯系学部・学費総額
その他学部の学費総額は、約507万円です。
その他学部・学費総額
卒業までの学費総額が最も高いのは医歯学系学部で、約2,400万円でした。他の学部と比べて在籍期間が2年長いためという理由もありますが、1年あたりの授業料や施設設備費も高額であることも関係しています。
卒業までの学費総額が最もかからないのは文科系学部で、4年間で約400万円です。さらに、その他学部で約507万円、理科系学部で約551万円と続きます。いずれも、初年度納入費用と在学期間中の学費、施設設備費の合計であり、生活費等は含めていません。自宅通学か、遠方への進学でひとり暮らしになるのかによっても、教育費の負担は変わります。どのような進路になっても直前で焦ることが無いように、なるべく早めに教育資金対策をはじめましょう。
先述したように、私立大学は学費が多くかかります。そのため、本記事で紹介した平均の学費総額などを目安として、早めに教育資金対策をしておくと安心です。
ここからは、教育資金対策のポイントについて解説していきます。また、国立大学の学費もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
私立大学では、毎年施設設備費が発生します。最も施設設備費が高い学部は医歯系学部で、年間約93万円です。しかし、国立大学では施設設備費が原則として発生しません。全体的な学費も私立より抑えられています。
また、国立大学では学部による学費の違いも基本的にありません。私立大学の医歯系学部に6年間通学した場合学費総額は約2,396万円ですが、国立大学では約350万円です。このことから、同じ系統の学部に進学するうえで、約2,000万円も学費に差があることがわかります。
そのため、子どもの将来の進路については資金面も含め、家族でしっかりと意見を共有しておくと安心です。
国立大学の学費は、文部科学省令により標準額が以下のように定められています。[注2]
国立大学の標準額
居住地を離れて通学する場合、一人暮らしの住居費や生活費が必要です。また、進学する学部によっては、実習費や留学費用などが発生します。
大学の入学が決まった際は、いつまでにいくら支払うのか、どのような名目の費用を支払うのかを大学から提示されます。実際に通学し始めてから必要となる出費も出てくるため、目安となる学費以外に想定される諸費用分に関しても早めに準備しておきましょう。
日本政策金融公庫による「令和3年度教育費負担の実態調査結果」では、高校生以上の子をもつ親の教育費捻出方法をまとめています。ここでは、調査結果のうち上位5つを紹介していきます。
教育費の捻出方法
また、6位以下も含めると「家計の工夫をしてなんとか教育費を捻出している」という方法も多数ありました。この次に多い内容は、「教育費の借り入れ」に関する内容です。具体的には、奨学金や国の教育ローン、民間金融機関の教育ローンを利用しているという解答が集まっています。[注3]
子どもが大学へ進学する時期に、住宅ローンの返済が重なる世帯も少なくありません。家計を工夫したとしても、ローンと重なると教育費を捻出することは難しくなります。
このような場合には、教育ローンや教育資金対策の資産運用など、安心できるサービスの活用を選択肢に入れてみるのはいかがでしょうか。
日本政策金融公庫による同調査では、教育費を捻出するために節約している支出もまとめています。最も回答が多かったのは「旅行・レジャー費の節約」で、全体の約6割が回答していました。次に外食費、衣類の購入費と続いています。
全体を通して、趣味や遊興費に充てていた費用を節約しているという回答が多く寄せられていました。中には「親のお小遣いを減らす」といった内容もあります。[注3]
節約は、どれか一つだけを実践するのではなく、いくつかを同時に実践するほうが効果があります。家計のうちどの支出なら削減できそうか、家族で話し合いをすることをおすすめします。無理なく継続できるものから実践してみましょう。
北陸銀行では、子育てや教育に関して安心できるサービスを提供しています。資産運用商品を利用して、将来の教育費のために少しずつお金を増やす方法もおすすめです。
また大学の入学時に必要な初年度納付金など、一時的に大きな資金が必要な場合は「ほくぎんの学資ローン」を利用すると良いでしょう。
ほくぎんの学資ローンは、カードローンタイプで最大1,000万円、一括借入タイプで最大2,000万円の借り入れができます。また、融資期間は15年以内で1か月単位で設定できるため、自身のライフプランに合わせて返済時期を考えられるのも大きな魅力です。
借入前にはホームページ内でシミュレーションも可能となっていますのでそちらの結果も含めて検討し、進学に備えましょう。
私立大学の学費は、学部ごとに大きな差があります。さらに、教材費や一人暮らしの費用なども発生するため、教育資金の備えは早めに開始しておくと安心でしょう。
今回紹介した資産運用や学資ローンなど柔軟な選択肢も持ちながら、将来に備えていきましょう。
◎著者
大野 翠(おおの みどり)
芙蓉宅建FPオフィス代表
金融業界歴12年目(2022年時点)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。
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