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教育

2021年00月00日

子どもの貯金はいつまでにいくら用意すればいい?幼稚園から大学までの必要額を説明

子どもがすくすく成長する様子は楽しみなものです。一方で、成長に応じて教育費がかかることが心配ですよね。そこで今回は、子どもの貯金はいつまでにいくら用意すればよいか解説します。あわせて、幼稚園から大学までの平均額もまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

同年代の人はどれくらい貯金してる?年代別の平均貯蓄額を確認しよう

子供の教育費対策として貯金を始めるにあたり、一般的にはどのくらい貯金をしているのか気になるところではないでしょうか。そこでここからは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査2021年(二人以上世帯調査)」を参考に、年代別の中央値について紹介します。

中央値とは、調査結果のデータを小さい順もしくは大きい順に並べた際にちょうど真ん中にあたる数字です。似ている用語で「平均値」があります。同調査での平均値は、貯蓄残高の多い人の影響により結果が偏ることがあるため、いわゆる平均としては目安になりにくい数字です。そのため、今回参考にするのは中央値とします。なお、これからご紹介する中央値は金融資産保有世帯の数値を参考としています。[注1]

20歳代の金融資産保有額は201万円

金融広報中央委員会による世論調査で、20歳代の金融資産保有額は201万円でした。20歳代というと、社会人になりキャリアを積み重ねていく時期です。

今回参考にしている調査結果は「二人以上の世帯」ですので、すでに結婚している20歳代の人を対象としています。そのため、より子育て世帯に近い貯蓄額をイメージしやすいのではないでしょうか。

30歳代の金融資産保有額は400万円

30歳代で二人以上の世帯の金融資産保有額は400万円でした。30歳代の二人以上世帯とは、子供が生まれ家族が増えていく時期でもあります。あわせて、住宅を購入する世帯も増えてくる時期です。

20歳代よりも勤続年数が長くなるため、20代のころよりも給与が増えていることも推察されます。一方で、子供の教育費や住宅ローンなどの出費も増える時期であるため、なかなか貯金できないと悩む人も少なくないでしょう。

40歳代の金融資産保有額は531万円

40歳代の金融資産保有額は、531万円でした。世帯主が40歳代とは、いわゆる働き盛りの年代といえます。働き盛りで所得は増える一方、子供が高校や大学に進学する時期と重なります。つまり、入ってくるお金も増えますが、教育費として支出するお金も増える時期といえます。

50歳代の金融資産保有額は800万円

50歳代の金融資産保有額は、800万円でした。世帯主が50歳代になると、子供が社会人になる時期であり教育費負担が軽減される時期です。

教育資金の出費がなくなると、次は自身の老後資金が気になり始める頃でもあります。たとえば、20代から同じ勤務先に継続して勤務している場合、50歳代になると年収がピークを迎える頃でもあります。

子供の教育費はいくら必要?目安になる金額を紹介

ここからは、子供の教育費はいくら必要なのかについてまとめていきます。いつまでにいくら貯めたらよいかについて参考にしてみてください。

なお、幼稚園から高校までは文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」を参照しています。大学費用は日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」を参照し、子供の成長段階に応じた平均額をまとめて紹介します。[注2][注3]

幼稚園・小学校・中学校・高校で必要な教育費の目安

公立 私立
幼稚園(3年分) 670,941円 1,583,748円
小学校(6年間) 1,927,686円 9,592,146円
中学校(3年間) 1,465,191円 4,219,299円
高校(3年間) 1,372,140円 2,909,733円

大学で必要な教育費の目安

大学で必要な教育費の目安は、次の通りです。進学先を国公立・私立(文系・理系)に分け、入学費用と在学費用にわけて紹介しています。

入学費用 在学費用 総額
国公立大学 67.2万円 414万円 481.2万円
私立大学(文系) 81.8万円 608万円 689.8万円
私立大学(理系) 88.8万円 732.8万円 821.6万円

子供の貯金額は大学入学までに400万円を目安にしよう

将来、子供が私立と国公立どちらへ進学しても良いように、大学入学費用と当面の在学費用に充てられる400万円を貯金の目安にすると良いでしょう。

400万円とは大学入学費用と2年生までの在学費用程度

400万円の内訳ですが、大学入学費用と2年生までの在学費用の合計に相当する金額です。日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」によると、もっとも費用のかかる私立大学(理系)では、1年間の在学費用は183.2万円、2年分で366.4万円です。入学費用は88.8万円です。

合計すると、大学2年生までの在学費用は455.2万円になります。私立大学(文系)や、国公立の場合はこれよりも少なくなるため、400万円を当面の目標として貯めておくと安心です。子供の将来の進路に左右されず、確実に進学させられる金額であるといえます。[注3]

400万円のうち半分に児童手当を充てる方法もある

子供の教育費として貯めたい金額400万円のうち半分にあたる約200万円は、児童手当を全額貯めて充当するという方法もあります。もちろん、本来であれば子供のために使うお金であるため絶対に全額貯金するということではありません。

家計から別途教育資金として捻出できるようであれば、児童手当を貯金することなく将来の資金を用意することができます。一方、なかなか家計から教育資金対策として費用を捻出することが難しいようであれば、児童手当を貯金する方法がおすすめです。

なお、児童手当には所得制限が設けられているため、高所得世帯では児童手当がもらえない(または減額)されることがある点は注意が必要です。

のこり半分は家計からの貯金で充当

仮に児童手当を全額貯金した場合、当初の目標である400万円のうち半分を貯金することが可能です。そうなると、目標額に対する残り200万円を家計から捻出し貯金していくことになります。

例えば毎月1万円ずつ貯金した場合、17年で204万円になります。0歳から毎月1万円ずつの貯金をした場合、ちょうど大学入学前にあたる17歳で約200万円が貯まります。時期的にもちょうどよく、もし児童手当も活用しながら貯金もする場合には参考にしてみてください。

子供のために確実に貯金する方法

ここからは、子供のために確実に貯金する方法について解説していきます。まずは「いつまでにいくら貯めるか」を明確にし、そのためには毎月いくらずつ貯めればよいのかや、そもそも必要額がいくらなのかについて計画を立てましょう。

定期預金や積立預金

いつまでにいくら貯めたいか明確にしたら、定期預金や積立預金を活用しましょう。銀行が取り扱う金融商品であり、投資商品と違って確実に元本保証があります。特に積立預金は、普通預金より金利がやや高めに設定されているのもポイントです。

積立預金は、あらかじめ設定したタイミングで、設定した金額を自動で積立してくれる仕組みです。そのため、入金の手間が省け自動的に貯金ができます。定期預金や積立預金などの銀行商品は、将来の子供の資金のために確実に貯金をしていくためにまず検討したい方法です。

勤務先の財形貯蓄や社内預金の活用

子供の親の勤務先に財形貯蓄や社内預金制度がある場合は、活用するのもよいでしょう。財形貯蓄は、お金の使い道によって使える制度が違います。子供の教育資金として財形貯蓄を利用する場合には、一般財形貯蓄が該当します。なお、一般財形貯蓄以外には、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄があります。

社内預金は、最低利率を0.5%としなければならない決まりになっています(2022年9月現在)。

また、社内預金を実施している企業によっては、一定期間の解約ができないなど制限がある場合があります。

財形貯蓄と社内預金は、いずれも会社員が毎月もらう給与から天引きされる形で自動的にお金が貯まっていきます。そのため、確実にお金を貯める方法として有効です。

学資保険への加入

学資保険は、生命保険のうち貯蓄性の高い仕組みの保険です。貯蓄ではなく保険であるため、純粋に毎月の掛け金すべてが積み立てられているわけではありません。しかし、本来の生命保険の役割である「万が一の備え」という部分で、確実に子供のための資金を残すことができます。

学資保険は、満期時期になるとまとまった資金が受け取れる仕組みとなっています。簡単にいうと養老保険に似ている仕組みです。学資保険では、さらに成長の度合いに応じて節目でお祝い金を受け取ることができる特約も存在する場合があります。

この特約を付加することで、学資保険満期時に受け取るお金以外に、成長の節目にもまとまったお金を受け取ることができます。

通常学資保険では、親のうちいずれかが契約者になります。学資保険の契約者となった親が、万が一死亡または高度障害状態になった場合、それ以降の保険料は不要になる「契約者保険料免除特約」が付加されている商品もあります。

契約者保険料免除特約の適用になった場合でも、学資保険は当初の契約通りに有効に継続するため、保険料が免除されても満期金や節目のお祝い金は受け取ることができます。

奨学金や教育ローンなど使える制度も知っておこう

子供が1人の場合は計画的に貯金ができていても、兄弟が多い場合にはなかなか貯金がうまくいかない場合もあるのではないでしょうか。このほか、子供の希望する進路へ進ませるための費用が足りない場合などに、奨学金や教育ローンも活用できます。

奨学金制度について

奨学金制度といえば、大学進学時の日本学生支援機構による奨学金をイメージする人が多いのではないでしょうか。日本学生支援機構による奨学金では、給付型と貸与型の2種類があります。

成績要件などを満たすことで、返済義務のない給付奨学金の利用ができます。もうひとつの貸与型の奨学金では、無利子で借りられる第一種奨学金と、有利子で借りられる第二種奨学金があります。

高校でも使える支援金制度

高校の入学や在学に際して使える「高等学校等就学支援金制度」という制度があります。この支援金制度は、進学する高校が国公立、私立いずれであっても対象です。

対象となるのは年収約910万円未満の世帯で、授業料に充てるための費用として支援されます。返済義務のある奨学金と違い、この制度は支援金ですので返済は不要です。支給される限度額は以下の通りです。

高等学校等就学支援金制度の支給限度額

  • 公立高校(全日制) 月額9,900円※
  • 公立高校(定時制) 月額2,700円※
  • 公立高校(通信制) 月額520円※
  • 私立高校(全日制・定時制・通信制) 一律月額9,900円(年収に応じて加算あり)

※定額授業料の場合

教育ローンについて

銀行など金融機関では、教育ローンを取り扱っています。北陸銀行では学資ローンという名称です。学資ローンは2種類あり、ひとつはいつでも必要なときに借りられるカードローンタイプです。カード利用期間中は、必要な金額を、必要な都度借入できるので利便性が高いローンです。

もうひとつは、まとまった資金を一括で借りられるものです。借入は初回のみのため、その後は返済していくだけでよく、返済計画が立てやすいというメリットがあります。

どちらの学資ローンが自身にとって使いやすいのかなど、学資ローンに関するおたずねはお気軽に北陸銀行までおたずねください。

まとめ

子供の将来のための貯金は、早い段階でスタートしましょう。早くにスタートすれば、毎月貯金する場合の1回あたりの貯蓄額を少なくすることが可能です。

児童手当の活用も検討し、毎月家計の中からいくらだったら貯められるかも検討しましょう。必要に応じて、教育ローンなど便利で安心な制度を利用することも選択肢のひとつです。


  • [注1]「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和3年調査結果」(金融広報中央委員会)(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/)
  • [注2]「平成30年度子供の学習費調査」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf)
  • [注3]「教育費負担の実態調査結果(2021年12月発表)」(日本政策金融公庫)(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf)

◎著者

大野 翠(おおの みどり)

芙蓉宅建FPオフィス代表

金融業界歴12年目(2022年時点)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。