老後へのそなえ
2021年00月00日
テレビや新聞などのメディアで、「人生100年時代」という言葉を聞く機会が増えてきました。平均寿命が延び、100年近くの長い人生を送ることが当たり前になった現代では、「老後資金」の準備をすることが大切です。老後の生活に備えて、早い段階から資産形成に取り組みましょう。この記事では、老後に必要な生活費や、月々の年金の金額、老後生活に向けた資産の準備方法を解説します。
厚生労働省の「簡易生命表の概況(2019年)」によると、日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳で、男女ともに過去最高を更新しました。[注1]
平均寿命が延びると、「就学」「就職」「結婚」「子育て」「リタイア」といったライフステージのうち、シンプルに考えれば「リタイア」以降の時間が延びることになります。
そんな長い人生に備えて、新しい生き方を模索していく現代は「人生100年時代」と呼ばれています。
「人生100年時代」では、健康や人間関係などの形にできない「無形資産」と、老後に安定した生活を送るための「老後資産」の2つに対して見直しが必要です。とくに注意が必要なのは、老後資産(老後資金)の不足です。100年という長い人生を見据えて、ゆとりある老後生活を送るためには、計画的に老後資金を確保しなければなりません。
平均寿命が伸び、老後の時間が長くなった結果、これまでの時代なら十分な金額であるはずの老後資金も、足りなくなってしまう局面が出てきます。先程の日本人の平均寿命からもわかる通り、これから多くの人が「人生100年時代」を経験するといわれています。老後に必要な資金と、月々の年金の金額を比較して、老後の生活に備えましょう。
「人生100年時代」については、こちらの記事でも詳しく解説しておりますのでぜひご参考にしてみてください。
「人生100年時代」に備えて、老後資金はいくら必要なのでしょうか。老後の生活費の平均金額と、「ゆとりある老後生活」を送るうえで必要な金額の2つを見ていきましょう。
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、老後の夫婦2人の平均的な生活費は1か月あたり27.0万円です。[注2]
一方、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2019年度)」によると、旅行やレジャーなどの消費金額もふくめた、「ゆとりある老後生活」を送るために必要な金額は、1か月あたり36.1万円です。[注3]
「ゆとりある老後生活」を送るために必要な費用のうち、日常生活費以外の使いみちとして希望が多いものは以下の通りです。[注3]
それでは、定年後にもらえる年金で、どのくらい老後の生活費を賄えるのでしょうか。日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建てです。国民年金は20歳以上60歳未満のすべての国民が対象ですが、会社員・公務員の方は国民年金だけでなく、厚生年金も利用できます。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(2019年度)」調べによると、2019年度末時点の国民年金の平均受給金額は、1か月あたり5.6万円です。
一方、厚生年金の平均受給金額(国民年金もふくむ)は、1か月あたり14.4万円です。[注4]たとえば、会社員の夫と専業主婦の妻の場合、平均受給額をもとに計算すると、月々の受給金額は以下の通りです。
前項で述べたように、老後に必要な平均的生活費は1か月あたり27.0万円、ゆとりある生活を送るのに必要な金額は1か月あたり36.1万円です。年金だけで生活費を賄う場合、このケースでは1か月あたりの平均的な生活費だけでも7.0万円、ゆとりある生活を送ろうと思うと16.1万円のお金が不足する計算になります。さらに65歳で定年を迎えてから、日本人の平均寿命に近い80歳までの15年間で計算をすると、ゆとりある生活を送るためには合計2,898万円が不足する見込みとなってしまうのです。
日本の公的年金制度だけではゆとりある老後生活のためのお金を捻出できない可能性が高い、ということがわかりました。これからは、公的年金制度だけに頼るのではなく、資産運用に取り組むなどして老後に向けた準備をすることが大切です。老後生活に備える4つの方法を紹介します。
老後資金のベースとなるのは、年金に加えて「貯蓄と退職金」です。子どもや孫の進学、耐久消費財の買い替えなど、まとまったお金が必要になることもあります。現役のうちに毎月少しずつ貯蓄を行い、いつでも引き出せる現金を確保することが大切です。また、老後資金を考えるときは、定年後の退職金もふくむのが一般的です。老後のライフプランをたてる場合は、退職金の金額もふくめて計画を立てましょう。
老後資金の確保なら、公的年金制度だけでなく、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」に加入することもおすすめです。iDeCoとは、毎月一定額の掛金を積み立て、原則60歳以降に給付を受けられる私的年金制度です。給付方法は、一時金タイプか年金タイプのいずれかを選ぶことができます。
iDeCo最大のメリットは、毎月の掛金が全額所得控除を受けられるため、税制優遇を受けながら、老後資金の準備ができる点です。さらに、積み立てた掛金は自分で運用し、そこで出た運用益は非課税となる点もメリットのひとつです。一般的な投資では運用益に対して20.315%の課税となるので、これも大きなメリットといえます。
iDeCoのほか、「個人年金保険」という方法もあります。個人年金保険とは、「保険料」の形で毎月一定額の積立を行い、将来的に貯まったお金を年金や一時金の形で受け取れる制度です。万が一の場合に備えた、死亡給付金も利用できます。また、商品によっては、「生命保険料控除」という税制上のメリットが受けられ、支払った保険料のうち、年末調整や確定申告などの手続きをすることで、一定額をその年の契約者の所得から控除することができます。なお、「生命保険料控除」は、iDeCoの所得控除と併用が可能です。
通常の貯蓄に加えて、毎月一定額を投資する「積立投資信託」をはじめるという方法もあります。さらに、積立投資信託で活用できる非課税制度が「つみたてNISA」です。つみたてNISAとは、毎年40万円以下の金額の投資であれば、最長20年間まで運用益が非課税となる制度です。なお、2020年度の税制改正により、つみたてNISAの制度期限が延長されますので、2023年までにつみたてNISAの利用を開始した場合は、最長2042年まで非課税で投資することができます。
老後生活の時間が長くなる「人生100年時代」では、老後資金が不足するおそれがあります。老後にゆとりある生活を送るのに必要な金額は、1か月あたり平均36.1万円です。しかし、日本の公的年金制度だけでは、それだけの老後資金を確保できないケースがあります。貯蓄や退職金をはじめとして、個人型確定拠出年金(iDeCo)、個人年金保険、積立投資信託といった資産運用に取り組み、老後の収入と支出のギャップを埋められるように準備しましょう。
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